はちみつ色の太陽
 



 ✽ ✽ ✽




――――目の前の、未だに顔色の悪い女はその大きな目を潤ませて親友の出て行った扉を見つめていた。


蜂谷 美月。

まるで揺れる水面のように緩くウェーブの掛かった長い黒髪と、陶器のような白い肌。


だけど、こいつを運ぶ最中、その白い肌に不似合いにも目の下には、ほんのりと薄く、そばかすの花が散っていたのを見つけた。


困ったように下がっている眉と、女ならではの華奢な身体。


桜色の小さな唇は、世の男共が好きそうな代物だ。


…………本当に、どうして寄りにもよって、こいつがあんなところに。


心の中でもう何度後悔の言葉を呟いたかわからないけれど、それでも蜂谷 美月に俺の秘密を知られてしまったのは紛れもない事実で。


俺の現状、最愛の“ミィ”との至福の時間を邪魔されたことだけでも十分苛立ちでしかないのに、そのミィとの会話まで聞かれてしまったとなっては絶望でしかない。



 
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