はちみつ色の太陽
「…………こいつ、熱すぎ」
真っ白なベッドの上に蜂谷を下ろせば、漸く解放された腕と身体はエアコンの無機質な冷気を貪った(むさぼった)。
あいにく、保健の先生は出張のため不在で、目の前で死んだように眠る蜂谷を介抱できる人間は自分だけ。
「…………なんで、俺が」
言葉ではそう愚痴ったものの、意識を失っている蜂谷をこのまま放っておくこともできなくて。
備え付けの冷蔵庫から氷枕と保冷剤を取り出して、冷た過ぎないようにタオルで巻き直すと蜂谷の首の後ろと両脇へと忍ばせた。
更に、足元に丸めた布団を置くと蜂谷の足を乗せ、高くすることで血流を促しておく。
この時期、熱中症になるとは考えにくいから、多分貧血か何かだろう。
体育教師の落ち着きっぷりから見ても、蜂谷はよく倒れるのか……まぁ、意識は失ってるけど呼吸も荒くはないし、まず対したことはなさそうだけど。