はちみつ色の太陽
「暑い……、」
学校までの道程、もう何度零したかわからない独り言。
なるべく日陰の多い場所を選んで歩いてきても、追い駆けてくる初夏の熱からは逃げられず、自然と身体には汗が滲む。
校門を通り、朝練をしている部活で賑わうグラウンドを横切ると、漸く見えてきた昇降口に思わず安堵の溜め息が零れた。
校舎が作ってくれた日陰に素早く身体を滑り込ませて下駄箱に着くと同時、私は差していた日傘を閉じ、着ていたカーディガンを素早く脱いだ。
パタパタと制服の襟元を仰ぐけれど、そんなのその場凌ぎにしかならなくて。
初夏の熱にあてられて汗の滲んだ身体に感じる不快感は、いつになっても慣れるものじゃない。
「美月、おはよー!」
と。
朝からぼんやりとそんなことを考えながら教室までの道程を歩いていれば、背後から聞こえたその声に、私は俯いていた顔を上げた。