はちみつ色の太陽
 


真っ直ぐに水嶋を見つめて右手を差し出せば、「だから、待たせ過ぎだって言ってんだよ……」と声を震わせた水嶋は、俺の右手を強く握った。


それに答えるように握り返せば、あの夏のように。


眩しいほどの太陽の光が窓の隙間から差し込んで、俺たちは思わず、目を合わせたまま笑い合った。


こんな風にまた、二人で夢を見れることが嬉しい。


こんな風にまた、大好きな水泳に向き合っていけることが嬉しくて堪らないんだ。


ああ、そうだ。

俺に、こんな気持ちをくれた。

本当は、水泳が終わったらすぐにでも、あいつのところに行こうと思ってたんだ。


この太陽の陽が差しているプールには、あいつはきっと来れないだろうし、俺が泳いでいたところなんて見ていないかもしれないけど。


それでも、このスポーツ祭の水泳を泳ぎ切ったら、あいつに会って伝えたい言葉があった。


伝えたい……想いがあった。


俺を再び、俺自身に向きあわせてくれた、あいつのこと。


水嶋たちと同じように、俺を信じて奮い立たせてくれたあいつに……どうしても、伝えたい気持ちがあるから――――


 
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