はちみつ色の太陽
――――私は、また日下部くんに泳いでほしい。
「お前も中学の時、一度は聞いたことあったろ?隣町の女子の水泳部に、中学入ってすぐレギュラー取って地区選抜にも選ばれた、めちゃくちゃ将来有望なスイマーがいるって……」
「覚えてない……」
「お前なぁ……その子、二年で自由形の地区一位とってさ。もちろんリレーにも出てたし……。その年の夏の大会でも良い成績出るんじゃないか、って言われてたのに、その夏、突然いなくなって……」
「3年前の、夏……?」
「ほら、確か、その時……なんて呼ばれてたんだっけな?焼けた肌が、はちみつ色なのと、“ハチヤ ミツキ”って名前と……表彰台に立った時の笑顔が “ 太陽 ” みたいだ……って」
――――3年前の夏、太陽に嫌われた美月は。
「あ、そうそう!彼女、みんなに、こう呼ばれてたんだよ!」