もしも超能力が使えたら


「ね!っねぇちゃんっお姉ちゃん!」

ほっぺをペチペチと叩かれる。


「う…ぅ、なに…?」


横を見ると、妹がカンカンに怒っていた。



「おねぇちゃん、はやく、おきなしゃい!」

「えー、もう、今何時?」


むくりと起き上がると夜の9時。
結構寝たなぁ…


「んーもう、眠い…。あともうちょっと…


「おねぇちゃん!だめだよー」


妹に起こされてるなんて、どっちが姉かわかんないなあ。


「わかったよ、起きるから…。」


眠い目をこすり、1階へ。


お母さんも案の定怒っているようで夜ご飯が並べられた机に手もつけずただ座っていた。
お父さんはお風呂に入ってるようだ。


わたしは黙って座った。


「お腹すいちゃよぉ、たゃべていい?」

妹はお母さんに縋った。
私も食べたい、でも空気が…

お母さんをチラ、と見ると怒りに満ちた顔で私を見ている…。

う、わぁ…。
気にせず、食べよう。


箸に手をつけ、目の前の味噌汁をとって飲む。

ズズッ…


「…………。」


妹はそれを見て、食べだした。


「彩音、食べなくていい、いや、食べるな。」


お母さんが野太い声で、私に言う。


ひぇぇ…なんでこんな怖いんだ。

「な、なによ?」

「朝起きて、おはようも言わない、お帰りも言わない、いただきますも言わない。」

あぁ、そのこと。

「別に…いいじゃん。」

「いいわけないでしょ!食の有り難みや、朝の挨拶、それを彩音はわかってないの。そのせいで妹の美優までしないじゃない!
責任をもって、姉は立派にしておくべきよ。」


…なにそれ。
私が悪かったけど…姉だから立派にしておくべきとか意味わかんない。



「…しい」

「なに?ちゃんと言いなさい。」

「鬱陶しいのよ!そういうの。」

「鬱陶しい?」

「うん、そうだよ!」



私たちが口論を始め出すと、美優は

「やめてよーっ!」って泣き出した。


「あら…ごめんね、美優。お母さん、怒りすぎちゃったわ。」

「………。」私は黙って席を立つ。

「彩音。」と母は私を止めた。

「なによ。」

「…………ごめんね、食べなさい。」


……っ!
なによ、なによ、なによ、なによ、なによ、なによ、なによ、なによ!

…っふぇ…

つい、右目から涙が出た。

小さな家族喧嘩が毎週のように起きても、いつも母は謝る。
私が悪いのに、といつも涙を流した。

今回もそう、涙を流してご飯を食べだした。

父がお風呂から出てきた瞬間、私は直行。


ドアを通して、父が「何言ってたんだ?」と聞くと「なんにも。」と母が言ったのを聞いて私は風呂に入った。



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