もしも超能力が使えたら
ミーンミーンミンミーン────。
騒がしい蝉の鳴き声が俺を苛立たせた。
うっせぇな…。
イライラしながら、ごろんと寝方を変えた。
俺んちは、クーラーが一切無しの、昔って感じの豪邸。
でっけー割には、暑すぎんだよ。
この、何十畳もある畳のど真ん中で寝転んでスマホをいじってた俺は、居間にいるという親父のところへ向かった。
ドンドンッ
荒ただしく、ドアを叩く。
「入れ。」
親父の声で俺は、ドアをガッとあけた。
「いい加減、クーラーつけろよ。」
去年、いや、だいぶ昔から講義してきた。
だが、何度も負けてきた。
いざ、今度こそ!
「また、その話か。代々、この東城家は暑さに燃え、寒さに燃えろ。
そのような伝統がある。
時がいくら流れようと、一切にこの東城家は変えん!」