氷のまなざしの向かう先
狩りの勝者は…?



「あの……好きですっ、付き合って下さい!!」


「俺は君のことを全く知らないしそんな人から告白されてあまつさえ付き合ってなどと言われても俺には迷惑以外の何ものでもない。

悪いが他を当たってくれ」



いつものように一方的に呼び出され一方的に告白され、それを一方的に断っただけ。


冷ややかなまなざしで呼び出した女子生徒を見ていると、その生徒は涙をこぼしながら俺に背を向けてどこかに行った。


毎度の光景にもはやため息がもれる。



「見ーちゃった見ーちゃった」



そして、これももはやいつものこと。


うんざりとした表情を隠すこともせずに振り返ればニヤニヤとしながらこちらを見ている1人の女が。



「あーあ、またあんな冷たい振り方しちゃって。彼女かわいそー」


「うるさいぞアユ」



そう言えば特になんとも思っていない顔で薄っぺらい謝罪をする。


昔からこいつはそうだ。


こいつ……本名は倉木 歩音(くらき あゆね)、俺のイトコ。


どちらも共通の祖母に似たのか、俺とアユは雰囲気や性格、思考回路などがよく似ている。


そんなところがなんとも腹立たしい。





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