氷のまなざしの向かう先
サッと顔色を青くして怯えの色を浮かべたその子の瞳に涙が溜まる。
怖いなら目をそらせばいいものを、目は合わせたままで上目で俺を窺(うかが)うように見つめる。
曇りのない純な瞳に映っているのは俺。
理由なんてない。その瞳を見て衝動的に思った。
「欲しい」
この瞳が欲しい。
その視線を釘付けにする存在として認識されたい。
憧憬や恋情、思慕の視線、怯えや怒り、抵抗するような負の感情を含んだ視線でさえも俺だけに向けてほしい。
その瞳に映るのは、俺だけで十分だ。