氷のまなざしの向かう先




そして、やっと巡ってきたチャンス。



「何をやっている」



ある放課後の教室


後ろ姿に声をかければ怯えたように肩を揺らし、にも関わらず、それを悟られないようにヘラリと笑ってみせた湯佐 真鶴。


焦りながらも渡したいものがあると言う湯佐にそれを受け取れば、なんとも腹立たしいことが書いてあった。


まぁそれを簡略化して言うと『アンタがあまりにもヘタレだからお膳立てしてあげたわよ』というもの。


言わずもがな書き手はアユだ。……殺意が湧いた。


だが、もうこんな絶好の機会は訪れないかもしれない。


意識して見ていると、湯佐は人に好かれる。


それは異性としてもだが、それ以外……所謂マスコット的な愛され方で、例えそういう対象としては見られていないと分かっていても、男と仲良くしているところを見るのは我慢ならなかった。


その結果が顕著に湯佐との関係に現れていたが本人は全く気づかず、アユには散々笑われた。





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