氷のまなざしの向かう先




だが、それもここまでだ。


鈍感にも程があると思うが、相手がそうなら仕方がない。


俺が取る方法は1つだけ。


無理矢理にでも意識させて分からせてやる。


その単純な思考を俺だけで埋め尽くすようにしてやればいいだけのこと。






「どうすればいいですかね?」



こてん、と首を傾げた湯佐に俺は自然と口角を上げた。


自分の武器は分かっている。


そのすべてを以て俺はお前を捕まえる。


そのための用意はしてきたのだから。



湯佐、君の中で俺の印象を強くするにはどうすればいいと思う?


君の周りには、甘やかし、優しくしてくれる人がほとんどだろう。


その中に入るぐらいなら、俺は違う方向から攻めるだけ。


他の奴等同様、その他のカテゴリーになるのは真っ平御免だ。


それならばどうするか。


恐怖の対象こそが最も強く、深く、確実に、心を侵食するんじゃないか?


そしてその侵食が進み、俺の存在が君の中で確かなものとなった後に与えるのは、即効性のある甘美なまでの毒。






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