氷のまなざしの向かう先
「元はと言えば、お前のせいだろう」
「なんのこと?」
ふふん、と凄艶な笑みを浮かべて尊大な態度で俺を見る。
分かっているだろうに……
「どうせまた『お願いだから俺に会わせて』とでも言われたんだろ」
俺がそういうことに興味がないと知っていながら拒否しないあたり相当意地が悪い。
まぁ人のことは言えないが。
「だって玲(れい)の性格ってばこの学校の全員知ってるわけでしょ?なのにめげずに『自分だけはきっと違うわ!』って恰(あたか)も自分がお姫さまみたいに妄想してる頭がお花畑の女子って愚かで滑稽でかわいいじゃない」
現実を目の当たりにしたときの表情がいいのよねー、と笑うアユ。
相当なサディスト。こいつに付き合えるやつが果たしているのかと疑問を感じる。
「今度からは断れ」
「覚えてたらね」