氷のまなざしの向かう先

サラリと吐かれた嘘に眉間に皺がよる。


前のときもそう言われて現在こういう状況になっているんだが。


俺は知らず知らずのうちにため息をもらした。



「大体、なぜ学校のやつら全員が俺とお前がイトコだと知っている」



俺からは言っていないしアユもあまり言いふらすようなやつではない。


アユ曰く、隠すことでもないだろうと聞かれたときは答えたらしいが、それはごく数人。


それだけでここまで情報が広まったのかと思うと空恐ろしい。


まだ入学してあまり時間は経っていないはずだが。


これはもう鎮まるのを待つしかない。


そのうち無駄だと諦めてほしいが、まぁ期待はしない。



「女子はほとんどイケメンには目がないからね」


「……迷惑なことだ」



それをされる側のことを考えてもらいたい。



「ふふっ、でーも、そんな中で見つけちゃったのよね。すっごくそそられる子が」