氷のまなざしの向かう先
次の日、女子の色めきだった声シャットアウトしながらも登校すると、もうすでにアユは来ていて、その席の前には1人の女子生徒がいた。
女子の存在に全く興味を持っていなかったため(持っていたら恐ろしいことになること間違いない)案の定名前が出てこない。
名前ぐらい昨日のうちにアユに聞いておけばよかったか。
どんな会話をしているのか気になったが、迂闊に近づいたら噂になる。
少し落胆しながら俺はいつも通りに自分の席についた。
お昼休みに入り、購買に向かう。
このときが学校の中で1番とも言えるぐらい嫌いな時間だ。
群がって話しかけてくる女子の面倒なこと。
初めのころと比べると話しかけられることは減ったが、それでも見られている視線が減るわけではない。
ため息を隠しもせずにパンを1つ取る。
さっさと飲み物も買って教室に戻ろうとしたときに肩を叩かれて、振り向くとアユがいた。
「こんなところで会うなんて珍しいわね」
「そうだな」