氷のまなざしの向かう先
基本俺は毎日購買だが、アユのところは弁当のはず。
今日はどうしてここにいるんだと視線で問うと、なんでもアユは付き添いらしい。
この女に付き添いをさせるやつがいたのかと俺は少なからず驚いた。
「もしかして、例の子か?」
思い出したのは昨日アユが言っていたこと。
「そそられる」などと不穏なことを言われていた哀れな子だ。
「そうよ。どうせアンタのことだから名前も知らないだろうけど」
全くもってその通りなので何も言えない。
だが俺が女子に興味を持ったらそれこそ面倒なことになりそうなのでこのスタイルをわざわざ止めようとは思わない。今のところ。
「あ、帰ってきたわ」
アユの向けた方に顔を向ければ輝く笑顔でこちらにくる女子生徒が。
あぁ、やっぱり朝いっしょにいた子だったのかと頭の片隅で思う。