氷のまなざしの向かう先
俺は初めて真っ正直からその子の顔を見た。
ふわりと揺れるうち巻きの髪は肩につくぐらいの長さで自然なブラウン。
健康的な肌は走ってきたからかほんのりと上気していて赤みがさしていた。
顔はそれなりに整っていてアユの隣にいてもまぁおかしくないぐらいだろう。
ただ、アユが『凄艶』と表すならその子は『愛嬌がある』という感じで。
例えると高級なペルシャ猫と生まれたばかりの子栗鼠ぐらいの差があるんだが。
印象的なくりくりとした大きな瞳がまさしく子栗鼠。
その瞳が感情を素直に表すことを物語っていて、アユが気に入った理由が分かった気がした。
「もう買えたの?」
「うん、バッチリだよ!戦利品たくさんゲットしてきた。もうお腹ペコペコー、姐さん早く食べ行こっ」
ニコニコとアユを見ながら俺に目を移す。
そこには特別色めいたものはなく、しいて言うなら不思議そうな色を浮かべていた。