氷のまなざしの向かう先



「気になってた」と言っていたが、その瞳には恋情の色はない。


ならなんだと考えていると、



「あ、姐さん、嘘でしょう?この人が、相原 玲さん?」



俺を見つめて信じられないとばかりにふるふると頭を振る。



「嘘ついてどうするのよ。疑うなら、本人に聞いてみたら?」



目だけで自己紹介をしろと言われた気がして渋々口を開いて名前を言う。


だが同じクラスなら最初のときにクラスの名前を言うのは当たり前だったし、知らない方がおかしいんじゃないのか。


まぁ他人のことは言えないが。



「ほ、ほんとに相原 玲さんなんだ……」



ガーン、とこの世の終わりを見ているようなショックを受けている表情をスルー。


そろそろ俺もお昼を取りたいのだが、と口を開いたときに



「わたし、相原 玲って女の子だと思ってたのに……」



と、なんともしみじみとした声が聞こえた。





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