すれちがえ
あの頃の俺達

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俺は、自分が天才だと知っていた。


俺が歌い始めたのは、まだ他の子が歩き始めた頃だったという。

別にそれを聞いても、驚かなかった。寧ろ当然だと思った。

過干渉がすぎない両親と、そこそこ裕福な中流家庭。

仲のよかった友人とバンドを結成するまでの8年間、俺はひたすらに、音楽に時間を注ぎ込んだ。

歌うことが、大好きだった。
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