窓際の山河くんの隣は。
「ただいま」
勉強も手につかない私は、しぶしぶ家に帰った。
自分の部屋に戻って、勉強を再開しよう。
そう思ったとき、
「あら、凛子。今日は早いわね。模試返ってきたんでしょう?どうだった?」
はぁ、と聞こえないように小さくため息をつき、
「うん、図書室空いてなくて。模試は、まあ、普通だったよ」
帰ってきてそうそう、模試のこと。
だから嫌なんだ。
「普通ってあんた。もうすぐ受験なのよ、わかってる?ちゃんと自覚持ってるの?お母さん、凛子に期待してるんだからね。あなた、勉強しかできないんだから……」
息が、詰まりそうだった。
このまま、何かを言い返しても言いくるめられる。
私は無言で二階の自分の部屋に向かった。