窓際の山河くんの隣は。
「はあ……」
お母さんからの期待が重くて。
時々私は何のために今必死で勉強しているのか、わからなくなる。
誰のため?
自分のため?
それとも……お母さんに喜んでもらうため?
「──っ」
“笹木さんって、嘘っぽいよね”
咄嗟に、山河くんの言葉が頭に思い浮かんだ。
どうして、山河くんはあんなことを言ったんだろう。
私の何を知って、そう言ったんだろう。
それに、吐き捨てたあとのあの笑顔……
どういうつもりなの?
自分の心の中を見透かされているようで、ドキドキが止まらない。
参考書を開いてさっきの続きをしようとしても、全然手につかなかった。
「山河くんのせいだ……」
彼があんなことを私に言わなければ。
どうして、彼がそう言ったのか。
気になってその日は勉強どころか、ゆっくり眠ることもできなかった。