窓際の山河くんの隣は。
「いいけど。俺、別に写真撮るの上手くねえよ?」
「うん、良いの!それが欲しい。ほら、シロクマも写ってるし!じゃあ、後でそれ送ってね」
私たちはお互いの連絡先を交換し合い、そのあとは何も話さずに帰宅した。
「……はあっ」
緊張した。
自分からあんな風に教えてほしいと頼んだことは今まで一度もなかった。
増してや同じクラスの男の子に。
自分のしたことを冷静になって考えたらまたドキドキしていた。
肝心なことは何も聞けなかったけれど、今日は山河くんの笑顔が初めて見れた。
それだけで満足だった。
しばらくすると、山河くんから写真が送られてきた。
私は写真を保存した後すぐに、『明日も一緒に帰ってもいいかな?』と送った。