窓際の山河くんの隣は。
「あのね、山河くん。ちょっと渡したいものがあるんだ」
今のこのタイミングだ、と思って私はカバンの中からあの空の絵を取り出した。
「こないだの空、描いたんだ。良かったら受け取ってほしい」
山河くんはその絵を静かに受け取って、じっと見つめていた。
こんな絵なんかいらないなんて、思われたらどうしよう。
ずっとそんなことを考えていた。
けど……
「すげえ!!ほんとにこれお前が描いたの?!やっべえ……すげえ綺麗じゃん」
そうやって子供みたいな反応をするから、
そんな私の不安はすぐに飛んで行った。
「ありがとう」
「絵、描くの好きなんだ?」
「うん、ただの趣味なんだけどね」
へえーと言ってまた山河くんは私が描いた絵をじっと見つめていた。
「ははっ、ちゃんとシロクマもいる」
私たちは顔を見合わせて笑った。