窓際の山河くんの隣は。

名前を呼んでみても、
ずっと頬杖をつきながら窓の外を眺めているだけで全然反応してくれなかった。


「ねぇ、山河くん。今日日直だよね?」


私はもう一度、ゆっくりと優しい声で話しかけてみるも、彼はこっちを見る気配も、返事をする気配もなかった。


愛想悪いな。
ちょっとくらいこっち向いてくれたっていいじゃん。

ていうか、返事ぐらいしなよ。


私は少しイライラしてきて、思わず、


「ねぇ山河くんってば!!」


そう少し苛立った大きい声で言ってしまった。

まだクラスに残っていた人たちも私の声に吃驚し、
一瞬静かになったけれど、またいつも通りの雰囲気にもどった。


山河くんもやっと私に、顔をゆっくりと向けてくれた。



「――っ」


私は一瞬、ドキッとしてしまった。
そういえば私、半年も同じクラスだったのに、ちゃんと山河くんの顔みたことなかったんだ。


まさかこんなにも、彼が綺麗な顔していたなんて、知らなかったから……

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