窓際の山河くんの隣は。

誰からも邪魔されず、誰からも何も言われることもなく。
いわゆる現実逃避がしたかった。

なんだか、“オトナ”になった気分だった。


「ここ、終点だって!初めて来たよ、こんなところ」


初めて足を踏み入れる地にワクワクドキドキしながら、二人で出た。


ああ。
私も山河くんみたいに自分と向き合わなくちゃなあ……


あてもなくぶらぶらと歩いていると、

「あ!!」

「吃驚した。突然大きい声出すなよ」


私はあるものに気付き、掲示板に向かって走っていった。


「南さんの個展だ……!!」

「誰?知り合い?」


私はキラキラと目を輝かせ、一つのポスターに夢中になっていた。
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