窓際の山河くんの隣は。
「私の……私の大好きな、憧れの絵描きさんなの」
「ふーん、そうなんだ」
すごいなあ、南さん。
画集をずっと見て応援してたけど、最近は勉強ばっかりで何も知らなかった。
こんな展覧会まで開くようになってたんだ……
「行きたい?」
「へ?」
「顔に、行きたいって書いてある。ほら、行くぞ」
山河くんは何もまだ言ってないのに強引に私の手を引っ張った。
こいやって、いっつも強引に行こうとするのって、山河くんの癖だなあ、と一人でクスッと笑っていた。
「まさか、こんなところで見れるなんて……すごく嬉しい。山河くん、ありがと!」
「いや、別に俺は何もしてねえし」
ここに来てよかった。
山河くんと、来れてよかった。