窓際の山河くんの隣は。
「ここにずっと居るのもあれだし、どっか行こうか!」
なんだかちょっと自分が悪いことをしているような気がしたけれど、私は首を縦にぶんぶんと振った。
「なんかでも、すぐお母さんたちに見つかっちゃいそう……」
私がボソッとそう呟くと、山河くんは思いついたように、ハッと声を出して、
「あそこのカラオケに入ろう」
近くのカラオケ屋を指さした。
山河くん、気を遣ってくれてる。
私が、帰りたくないって言ったから。
本当はもう帰りたいって思ってるのかな。
私のわがままのせいで、こんなに振り回して。
ごめんね
「うん……」
それでも帰りたくなかったわがままな私は、小さく頷いて先を歩く山河くんについていった。