窓際の山河くんの隣は。

私はなんだかおもしろくなって、ケラケラと笑っていると、


「なんで笑うんだよ!」


と、山河くんも怒りながらも私につられてケラケラと笑っていた。

ああ、楽しい。
ずっと、ずっとこうだったらいいのに。


「次、笹木。歌えよ」

「私はいいや。音痴だし、あんな美声聞かされた後だと歌いにくいじゃん!」


つまんねーの、とふてくされる山河くんに、


「あのね、山河くん」


私が話を切り出した。


「ん?なに?」

「私ね、山河くんに喜んでもらいたくて絵を描いて。それがただの自己満だったんだけど、山河くんがすごく褒めてくれて。本当に本当に嬉しかったの」


今まで絵を描いてきた中で、あんなに喜んで貰えたのは初めてだった。

今までで一番、絵を描いてよかったと思う瞬間だった。


「私ね、絵を描くことも諦めないことにする。もちろん勉強も頑張るけど、絵も頑張る」

「笹木……」

「こうやって、前向きになれたのも……山河くんのおかげだよ。本当にありがとう」


また私は目にたくさん涙を浮かべ、何度もありがとうと言った。
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