彼を愛してはいけない理由。
プロローグ
志乃side
薄暗い廃工場。
鉄と鉄がぶつかり合う音。
何かが折れる音。
男の唸り声。
血の臭い。
汗の臭い。
そんな中に私はいた。
怖くて、でも楽しくて、私は胸がドキドキしていた。
『狂ってる』
昔、誰かに言われた。
でも、その人はもういない。
だって、私が・・・
私は静かに微笑んだ。
殴り合い、殺し合う男達を見て。
私が今までやってきたことを思い出して。