羨望
そして当日、
朝の8時に駅前に集合する。
駅からそう離れていない山だから、
そこまでもみんなで歩く。
「里香ちゃん、おはよう」
「杏里。おはよう」
お互い挨拶を交わす。
杏里がいつもと違うことに気がついた。
ふわりと甘い香水を振っている。
考えること同じなのかな。
「泉くん、加藤くんおはよう!
今日は頑張ろうね!」
私がそんなことを考えている間に、
杏里が泉くんと加藤くんに声をかけた。
2人に笑いかけているようにも見えるが、
私には泉くんだけしっかりと
見つめているように見えた。
だんだんと悪い方へ思考がいく
自分が嫌になって、
目線をくるりと左に向けるときに
ふと泉くんと目があった。
幻覚かもしれないが私の方を見て
ニコリと笑った気がした。