羨望
そんな他愛もない話を
している間に、
いつの間にか私たちの順番になっていて
山道を歩き始めた。
意外となだらかな傾斜に、
これは少しの休憩だけで大丈夫かもと
気分が少し明るくなったような気がした。
「里香ちゃん、
さっき加藤くんといい感じだったね」
耳もと囁いたのは杏里だ。
「そんなことないよ」
慌ててそう言って弁解すると、
杏里はまた口を開こうとした。
「何々?何の話??」
加藤くんだ。
「なんでもないよ」
そういって誤魔化す
私たちを気にするそぶりを見せずに
楽しそうに違う話にして、
場の雰囲気を盛り上げてくれた。
彼はきっとモテるんだろうな。