ツレない彼の愛し方【番外編追加】


「修ちゃん....」

綾乃の顔が涙でぐちゃぐちゃだ...



「ブスになってるぞ」



「はっ?」



「泣き過ぎてブスだって言ってるの」



「そんなことをいう修ちゃんを会社の女子が聞いたら卒倒するわね。いつから王子様キャラになったんだか...垣内部長!」



「ふん、お前だって...キャリア積んでる風でバリバリ仕事してるけど本当は泣き虫で淋しがりやで、甘えたがりなくせに」

二人で久しぶりに憎まれ口を叩き合い、素直に心から笑っていた。
夕陽がキラキラして海面に光っている。
眩しそう目を細めた綾乃が、あの頃のままの表情を見せてくれた。
俺たちが素直に愛し合えていた頃の。


「そろそろ帰ろうか」



「うん...」




「綾乃....おいで」

そう言って綾乃と手を繋いだ。
自然に繋がれた二人の手と手。
幼い頃から知っているぬくもり。
遠回りしたけれど、もう離さない。
今ならきっと守れる。
綾乃のすべてを...二人の未来を。
帰りの車で、ずっと手を繋いでいた。




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