ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「お前さ...いい加減、社長って俺のこと呼ぶのどうにかならない?」
ぶっきらぼうに言い放つ。
「社長は社長でしょ」
私も同じテンションで言い返す。
早瀬が何が言いたいか、わかってる。
「他に誰もいない」
二人の時は早瀬が私にどう呼ばれたいか。
「ここは職場ですので...」
素っ気なく却下。
「垣内部長をいつの間にか"修二さん"なんて呼びやがって...」
仕事を始めるようとしていた手を止め、私に向って来た。
「頭なんて触らせやがって...」
容赦なく壁に追いつめられる。
何の事かと思ったら、修二さんがニューヨークに旅立った日の出来事を蒸し返してる。
ジリジリと迫って、私を壁に押し付ける早瀬のニヤリと笑った口角。
「な、な、何してるんですか?」
「見ればわかるだろ、嫁に迫ってるんだ」
「は〜?ここ職場でしょ?変態!」
「ああ、変態でけっこう!」
もう後ろへ一歩も動けない私の顎をクイっと持ち上げる。
これがあの噂の顎クイですか?
と、冷静な頭と裏腹に熱くなる身体。