ツレない彼の愛し方【番外編追加】

都内から高速を使って辿り着いた静かな海。
2時間のドライブは快適だった。
娘は初めての遠出なのに、車の中ではスヤスヤと眠っていて良い子にしていたし、仕事も減らしてもらって育児を中心に生活していたから気分転換には最高の時間だった。

たった2時間、都会から離れただけで海も空も素晴らしく青かった。
その青い海が一面に見渡せる高台にそびえ立つ真っ白な教会。
自然に囲まれた緑とのコントラストが一段と目を引いた。
その駐車場に車を止めた早瀬は、イタズラっぽく目を細めた。


「教会?」


早瀬が先に降りて後部座席のチャイルドシートの洋太を抱きかかえる。
すると教会から出て来た恰幅の良い女性にそっと手渡した。
年の頃は60代だろうか。


「ちょっと…!!!桜!」

私が慌てて桜を追いかけようとすると早瀬に制された。



「大丈夫だ。宜しくお願いします。」

桜用に分けてあった荷物と一緒に桜を預けてしまった。


「はいはい…あら〜美人さんだこと」

女性は慣れた手つきでふっくらとした胸に桜を抱きかかえ、笑顔で私達に一度頷き、そのまま教会の中へ入って行った。



「なに?これ、どういうこと?」

事態が把握できない私に相変わらず魅力的な笑顔を向けた早瀬が言う。


「今日は俺たちの結婚式だ」


「えっ?!」

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