ツレない彼の愛し方【番外編追加】

「綾乃さん…顔を上げてください。私はもうあの頃のことは忘れました。と言うより、今が幸せなので記憶の奥底へ眠ってしまいました。だから…もう謝らないでください」


「でも…あんなひどいことをしてしまって…修ちゃんにも叱られて…あの頃からずっと響さんに謝りたくて…私ずっと後悔していて…」


「もう良いんです。今、私は誰よりも幸せだから」

早瀬がゆっくりと私の手を握って来た。
その小さな仕草だって私は大きな愛に包まれているという実感を持たせてくれる。


「綾乃…響は俺がちゃんと幸せにしているから、もう大丈夫だ」


「隆之介…ありがとう…」

綾乃さんは泣きながら少しホッとしている。


「隆之介さん、響ちゃん、俺からもお礼を言うよ。綾乃を許してくれてありがとう」

深々とお辞儀をした修二さん。


「で、二人からは報告はないのか?」

と早瀬がにやりと笑う。
綾乃さんが照れたように修二さんをみつめていた。




< 137 / 139 >

この作品をシェア

pagetop