ツレない彼の愛し方【番外編追加】

タクシーから降りる時、ヒラヒラするスカートと高いヒールが邪魔をして、なんとも無様な格好になっている。

すると朽木くんが私の腕に手を添えて、すっと引っ張ってくれ、すんなりとタクシーを降りる事ができた。


「あ、ありがとう」


「どういたしまして」


そのまま、朽木くんは私の腕を自分の腕に絡ませ、カップルが腕を組むような形になった。


「朽木くん?」


「今日は僕がエスコートしますね。」


「えっ?」


すると到着する招待客はみんな男女カップルでレストランに入って行く姿がいくつも見られた。


「そう言うものなの?」


「そう言うものです。」


そっか…。
アラサーというのに、こう言う事も知らないなんて、まだまだだ。
会場に入って行くと、岡野と美咲ちゃんは永野夫妻をみつけていた。

永野夫妻がドレスアップして並んでいると、相当目立つ。
私たちもすぐにその場所へ向かうと、由加里さんが面白いものでもみつけたように目を輝かせてこちらに手を振ってる。


「あら、響ちゃん!すごくキレイ!」


「え?そうですか?由加里さんは会場で一番っていうくらい目立ってますよ。いいな、永野サン、こんな素敵な奥さんがいて。」


「お前、そのオヤジ発言やめろよ。ま、うちの奥さんがキレイ過ぎて目立っちゃうのは認めるけどね。」


「はいはい!」

と、私は手をヒラヒラさせて永野さんを追っ払う仕草をした。


「ところで…なんで腕を組んでるの?お前たち」


と永野さんが不思議な顔で質問してくる。


「え?そういうものじゃないんですか?」


「どう言うものか知らないけど、カップルじゃないなら腕は組んでなくても良いと思うよ。組みたいなら組んでても構わないけど」

と、ニヤニヤしながら朽木くんを見ていた。
私は急いで腕を外し、朽木くんを睨む。
平然とした顔でシラを切ってるし。
うっ、騙したな!


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