ツレない彼の愛し方【番外編追加】
04
翌朝、靴づれでぎこちない歩き方をしながら出勤した。
「昨日、大丈夫でしたか? 何度も電話したんですよ。」
美咲ちゃんが心配して寄って来る。
スマホの着信には美咲ちゃんからも、朽木くんからも、岡野からも着信があった。
「ごめん。疲れてて家に帰ったらすぐ寝ちゃったの。」
「そんなことだろうと思ったよ。あれからさ、呑み直そうと思ったのに、永野さん達はおチビちゃんを迎えに行くからと帰っちゃうし、お前はいないし、社長は彩乃さんと帰っちゃうし、俺、つまんなかったんだから。」
「私と朽木くんで付き合ったじゃない!不満なんですか?」
「はいはい!ごめんなさいね。」
と私はこの二人の言い合いを聞き流しながら、"社長と彩乃さん"と言う言葉は聞き流せずにいた。
早瀬は綾乃さんとまた付き合うことになったのかな?
なら、どうして昨日、私を抱いたの?
胸が苦しくて、頭がまわらない。
「響さん?響さん? 大丈夫ですか?」
「あっ、ごめん、なんだっけ、朽木くん。」
「今日は朝からおかしいですよ」
「ちょっと疲れてるみたい」
早瀬がチラッと視線を投げられたことに気が付いた。
「響、ちょっと来い!」
「あちゃ~、響さん、また怒鳴られちゃうよ」
「あいつ、今日、おかしいもんな。」
私は早瀬のデスクに行った。
「なんか心配事でもあるのか?」
「いいえ。」
言える訳がない。
私達、もう終わりですか?なんて。
あ、でも始まってもいないんだ。このあやふやな関係は。
「なら、しっかり仕事しろよ!」
「はい。すみません。」
はぁ…なにやってんだろう。私…