ツレない彼の愛し方【番外編追加】


「おはよう」

そう入って来た私にすでに出勤していた岡野と美咲ちゃんが私に視線を合わせ、それぞれに挨拶を返してくれる。

「響さん、おはようございます!」

そう言って朽木は毎朝、私にコーヒーを入れてくれている。


「朽木くん、おはよ。ありがとう!でもこういうのいらないって」


「いえ、指導員としていつもお世話になっているので感謝と敬意を表して…」


と最後まで言い終わる前に早瀬が入って来たから、私の意識は早瀬の方へ向く。
少し遅いと思ったら電話をしながらだった。


「はい、わかりました。では夕方にお伺いします。」

早瀬は小さくため息を落として電話を切った。


「社長、外出ですか?」

岡野が聞く。


「ああ…吉澤。」

早瀬はただ行き先を告げただけなのに心臓がギュッと苦しくなる。


「了解です。用意しておく事ありますか?」


「いや、大丈夫だ。綾乃が今後の対策も兼ねて、現在のレストランの様子を見て欲しいということだから。」


「了解です。」


早瀬と岡野の何気ない会話。いつものことなのに、パーティ後から何か変わってしまった自分の気持ち。

早瀬に他の誰かがいることが、今までなかった。
いや、私が気が付かないだけでもしかしたら他にも女性がいたのかもしれない。


でも今回は何か違う。
綾乃さんが早瀬に好意を持っているのは明らかだし、それを早瀬もまんざらでは無いように見える。

はぁ…また始まった。ウジウジした私。
きっと誰かに話したら早瀬にハッキリと聞けばいいと言われるだろう。


『私は早瀬のなに?』って。


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