ツレない彼の愛し方【番外編追加】
午後からクライアントと打合せと言って外出していた。
「いいか?」
私はベッドから起き上がろうともせず、目だけで頷く。
きっと私の返事なんて求めていないんだろう。
すでにジャケットは脱ぎ捨てられ、一日中着ていたであろう少しシワの寄ったカッターシャツのボタンを外していた。
間接照明のぼんやりした明るさだけでも、早瀬の整った顔立ちが浮かび上がる。
180cm以上ある身長が灯りを遮って、私の上に影となる。
奥二重で切れ長の目。笑うと目尻に浮かぶシワさえもオトコ前だ。
ベッドに滑り込んで来た早瀬からタバコとお酒の匂いが漂って来る。
他の人なら嫌な匂いなのに、早瀬が付けて来るなら受け入れられる。
甲に血管が浮かんでいる無骨な手が私の耳たぶを愛撫する。
好みの薄い唇が私の唇に重なり、首すじから耳たぶへと移動する。
「ん…」
思わず漏れた吐息。
うたた寝から完全に覚めていない私の身体は夢の中にいるようだ。
「相変わらずココ…感じ易いな」
舌で愛撫していた耳たぶの横で、囁くように早瀬が言う。
耳にかかる吐息すら愛おしい。
「ん…ふぅ…」
自分の口からこぼれ落ちる掠れた吐息。
漏れる音を抑えようとする。
「我慢するなよ。」
それでも理性が働いているギリギリまで感情を見せないようにとしている。
私のささやかな抵抗だ。無駄だとわかってるのに。
そんな私の顔を見て早瀬はフッと笑う。
と同時に激しく求め出す。
パジャマ代わりに着ていたゆったりしたTシャツをまくり上げ、あらわになった胸を揉みしだく。
酔ってるせいか、力加減が定まらず、少し痛い。
なのに突起した敏感な部分は優しく舌で転がす。
私は早瀬の髪の毛をそっと指で梳く。
上目使いの早瀬と目が合うと、早瀬の顔から余裕が消えて行く。
胸から離れた手は、私のいちばん敏感な場所へと移って行く。
「あ……」
自分の意思とは関係なく声が漏れてしまう。
敏感な場所が、早瀬を受け入れるには十分なほどの蜜を溢れ出していることに早瀬が満足したのか一気に私の中へ挿って来る。激しく強く…。
早瀬の動きに身を委ねているうちに私の意識が一瞬飛んだ。
早瀬の顔がゆがみ、小さく吐息を漏らし絶頂を迎えていた。
どれくらい時間が流れたのだろう。
早瀬は寝息を立て私の横で眠っている。
慣れない外出、付き合いの酒で疲れ切っていたんだろうな。
その寝息のリズムが私の睡眠剤となり眠りに堕ちた。
朝、私が目を覚めると、横には早瀬の姿は消えていた。