ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「響さん、お昼どうします?」
美咲ちゃんが首を傾げながら聞いて来る。いつ見ても可愛いな。
「ん、これ終わらせたいからいらない。」
「え~?食べなきゃダメですよ。それに午前中、トイレにも行ってないんじゃないですか?」
「そうだっけ?」
「お昼でかけるのが面倒なら、何か買って来ましょうか?」
「いいよ、大丈夫。食欲もイマイチ無いんだ。美咲ちゃん行って来て。」
「わかりました。無理しないで下さいね。じゃ、行って来ます。」
そう言って美咲ちゃんはお財布を片手に会社を出て行った。
私がまた画面に集中していると、右横から何かが飛んで来た。
「それでも食ってろ。」
岡野がクリーム玄米なんとかって書いてある袋をポンと投げたのだ。
「…ありがとう。」
岡野は余計なことは聞かない。昔からだ。人の領域に踏み込まない分、自分の領域も踏み込ませない。
たまに何を考えているのかわからないけど、人としては暖かみがあるオトコだ。
「キャパオーバーなら回せよ。」
「了解。でも今は大丈夫。あ、そうだ!今日、定時で上がっても良い?」
「別にいいんじゃね。なんかあんの?」
「うん、借りた物、返しに行きたいんだ。」
「ふ~ん。仕事、急ぎとかある?」
「大丈夫。」
「あ、っそ!」
そんな会話をしていたら、美咲ちゃんが帰って来て、ドサッと私の机にお弁当を置いた。