ツレない彼の愛し方【番外編追加】
早瀬との関係は5年。
関係を持っているからと言って恋人同士ではない。
上司と部下、都合の良い時に、ただ身体を重ね合う男と女。
それだけ。

だからと言って悲観してる訳ではない。


どちらの関係も良好だ。
毎日、残業で帰宅が夜中になる仕事。土日も休めないときだってある。
ハードだけど早瀬から勉強する事は多く、仕事は楽しい。


広告代理店でアルバイトを始めた頃には、早瀬隆之介はすでに世の中から注目を集めていた。
デザイン界に異色な大物新人が現れたと。


早瀬は私にとって憧れで、一番近くにいる大人の男性だった。
そんな彼がある日突然、私を会社帰りに呼び出した。


『俺、会社辞めるんだ。独立する。進藤さん良ければ、手伝って欲しい。』

何の前触れもなく誘われた。
岡野も一緒だったし、早瀬の下で勉強したいと言う気持ちもあり、私は迷う事なく、早瀬についていった。
でも一番の理由は…早瀬のそばにいたかったから。
その頃から、私は早瀬のことが好きだった。




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