ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「どこに…?」
「病院」
「えっ?病院って、こんな遅い時間じゃ…」
「知り合いに産婦人科医がいるんだ。今から診て貰えるからすぐに行くよ。」
「でも…」
「でもじゃないよ。しっかりしな」
「…はい。」
病院に向かう車の中で修二がひとつだけ私に質問した。
「もし妊娠していたら、父親は隆之介さんだよね?」
「…はい。すみません」
「どうして謝るの?」
「だって…綾乃さんと婚約話が出ているのに、こんなことになってしまって。」
「こんなことって…響ちゃんだけが悪い訳じゃないでしょ。隆之介さんには言わない気?」
「・・・・・・・。この状況じゃ言えません。もし…綾乃さんとの縁談が進んでしまったら社長が・・・・。」
「社長が困るっていうの?キミはバカか?自分はどうなの?自分はどうしたいの?なんで人のことばかり考えてるんだよ。本当に妊娠していたらお腹の子の事を第一優先に考えるのが母親だろ。」
「母親…?」
「そう!ったく。」
逃げていた。検査薬だって使えばすぐにわかるはずなのに、ずっと先延ばしにしていた。それだけ思い当たる節がたくさんあるからだ。でも修二さんがいうように時間を延ばしたところで何も解決しない。