ツレない彼の愛し方【番外編追加】
自宅に着いて間もなく、私は早瀬の携帯に電話をかけていた。
電話に出られなかったら、かけ直して貰えるように留守番電話に入れておこう。
思いのほか早く、2回目のコールでで繋がった電話から聞こえた声は…
女性だった。
「・・・・」
「もしもし?進藤さん?」
「…はい、あの…社長は…」
「今、シャワーを浴びてるの。出たら掛け直すように伝えるわ」
頭を殴られたようにショックが大きかった。今まで信じてきたものが、何もかもが崩れ始めて来ている。さっきまでの自分の浮かれた気持ちを今の自分があざ笑う。
バカみたい…。
「いえ、大丈夫です。急ぎじゃないので・・すみません」
そう早口で電話を急いで切ろうとしたのに…。
「待って、進藤さん。
隆之介、バイトだった進藤さんを連れて独立した事で今も責任を感じているようなの。進藤さん、あの頃、もう内定が出ていたんでしょ?隆之介が進藤さんを大切にしているのは、その責任感からみたい。だから…勘違いしないでね」
勘違い…どうして今になってそんな事を言われてしまったのだろう...
私は崩れ落ちるように座り込んで、床をみつめたまま、ボロボロと涙を流した。
ごめんね、ごめんね。
まだ膨れてもいないお腹に手を当てながら。