ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「響ちゃん!」
修二さんが私をしっかりと抱きかかえた。
「どうしたんだ?何があった?」
「私...もうダメです。もう社長を信じられない...」
「どうして?さっきはちゃんと妊娠のことを話すと言ってたじゃないか」
「電話はしました。でも電話に出たのは彩乃さんで...社長はシャワーを浴びていて...」
「はぁ?」
「私に勘違いするなって...」
「何を?」
「社長が優しくするのは...独立した時に強引に連れて来た責任からだからと」
「綾乃が言ったんでしょ?嘘ついてると思わないの?隆之介さんにちゃんと確かめなよ」
「もう良いんです...もう」
早瀬の電話に彩乃さんが出たということから、もう私の中では何かが崩れ始めていた。
私は早瀬に逢いたくても逢えない。
けれど綾乃さんは早瀬の電話が鳴れば出れるほど近くにいるってこと。
今はそれだけで私には十分過ぎるほど打撃を与えた。