ツレない彼の愛し方【番外編追加】



化粧室に逃げ込んだ彼女を自然な距離を取って待っていた。
しばらくしてそこから出て来たのは、彼女ではなく綾乃。


「「あっ!」」

綾乃とは表向きは普通の従妹を演じている。
あの事があって以来、ぎくしゃくとした関係。



「修ちゃん、なにしてるの?」



「別に...」

何をしてるかなんて言える訳がない。



「ふん...もうパーティが始るから会場へ行った方がいいんじゃない?」

いつもけんか腰だ。



「わかってる」

綾乃がいるこのタイミングで彼女とは逢いたくない。
あんなに遅いことに苛立っていたのに、今は、まだ出て来るなと思ってしまう。
それでもこの場を離れ難いのは彼女に自分の存在を植え付けたかったから。



「変なの!」

俺の行動に怪訝な顔をして、その場を綾乃は去って行った。
自分自身、何をしているのかと呆れてしまうこの行動。
ただ、彼女に自分の存在を知って欲しかった。
それだけだったのに...


化粧室からなかなか出て来ない彼女を心配し始めた頃、さっきの妖艶な魅力的な顔からは一切かけ離れ、表情が暗く、今にも泣き出しそうな彼女が現れた。


どうして?!



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