ツレない彼の愛し方【番外編追加】


フラフラとパーティ会場に向っている彼女の後を自然な距離を保ちながら付いていく。


すでに始ってしまっていたパーティの壇上を見据えていた彼女が一瞬フラっとよろめく。
隣にいた女性が彼女の背中を心配そうにさすっている。


具合でも悪くなったのか?
彼女を遠慮なく観察していると、彼女の視線の先には、隆之介さんに腕を絡める綾乃がいた。


それから何分も経たないうちに、彼女はフラフラとおぼつかない足どりで会場を出て行ってしまったのだ。


肌の露出多めなドレスのまま、外に飛び出した彼女。
靴ズレでもしたのか、足を引きずっている。


気が付いたら、車に飛び乗って彼女を追いかけていた。


行ってどうする?


そんな事を考える暇もなく、交差点で信号待ちをしている彼女をすぐにみつけた。
若者が行き交う街に場違いなドレスが彼女を見つけ易くしてくれていたんだ。
彼女はタクシーを拾う訳でもなく、行き交う車をぼんやりと見ていた。


化粧室から出て来た時から様子がおかしい、あの場所には綾乃がいた。
もしかして...綾乃になにか言われたのか?


俺は車から降り、彼女の前に立った。
彼女から見たら見知らぬ男。警戒をするだろうとわかっていたから言葉は丁寧に。


「送りましょう。」


彼女と視線が合うも、すぐにその視線は外され、なぜか横に移動した。
今度はちゃんと気が付いて貰えるように名刺を差し出した。


「えっ?私?」


驚きながら名刺をまじまじと見ている彼女がおかしくて、頬が緩む。










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