ツレない彼の愛し方【番外編追加】
するとさっきまで弱々しく泣きそうな顔をしていたのにキッと僕を睨んだ。
だから負けじと彼女の胸元に視線を移した。
彼女はハッとして僕が羽織らせたジャケットで胸元を隠していた。
遅いって...
そう突っ込みたい自分を抑えて、車に乗るように促す。
彼女の強気な答えは
「知らない人の車に乗っちゃダメって、小さい頃から教わってるのでご遠慮します」
なんだ、そのセクシーな格好に似つかわしくない子どもじみた返事。
そんな答えが返って来るとは思わなかった僕は彼女を見て大笑いしていた。
口を尖らせて、ますますご機嫌斜めになってしまった彼女を車に乗せないという選択肢はなかった。
「面白い人だね。じゃ、これから知り合いになりましょう。とにかく、ここじゃ何だから乗って下さい。」
このままじゃ乗らないだろうと強引に腕を引っ張った途端、大声を張り上げた。
「いや~!どこに連れていくの? 誘拐?拉致?いやーーーー!」
おいおい!お前いくつだよ。
と呆れながら彼女が食い付きそうなキーワードで静かにさせる。
「綾乃が君を傷つけたんじゃないかと思ってね。心配で追いかけて来たんだよ。」
黙ったまま固まってしまった彼女を見てやっぱり綾乃と何かあったんだろうと直感した。