ツレない彼の愛し方【番外編追加】
車に乗せたことは乗せたけれど、彼女はかなり往生際が悪い。
黙って送られればいいものを
「あの…最寄りの駅で下ろして下さい。」
素直に送られる気が無いことに少し苛立ちを感じ彼女が焦るように仕向ける。
「マークサイドホテルでいいかな?」
彼女に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟く。
すぐさま反応した彼女。
「えっ?ホテル!? やだ!降ろして!!!!なんでホテルなんですかぁぁぁ!!!!」
思った通りの反応で腹を抱えて笑いたい衝動をどうにか抑えてシレっと答える。
「僕の仕事場だからだよ」
「えっ?」
名刺を再確認させたら、裏表を何度もひっくり返してる姿が小動物みたいで面白い。
彼女の顔を横目で盗み見してたら、また反抗。
「あの…どうして…?あなたの仕事場に私が行く意味もわかりません。」
僕も意味がわかりません。なんて言える訳もなく口から出た言葉は自己紹介。
「綾乃は…僕の従妹。吉澤の社長と僕の母が姉弟なんだ」
ついでに綾乃と隆之介さんの関係も説明。
「綾乃は昔、早瀬さんの同僚だったと聞いているよ。その頃からずっと彼が好きみたいで。」
綾乃の感情というおマケ付きで。