ツレない彼の愛し方【番外編追加】
「綾乃、もういい加減にしてくれないか」
「なにが?」
「俺たち、そういう仲じゃなかっただろう」
「あの頃はね。でも今は違う。私は隆之介が欲しい」
「それは一方的すぎる」
「だから?」
「だからって…綾乃、お前いったい何がしたんだ?本当に俺と結婚したい訳じゃないだろ?」
「どうしてそう思うの?結婚したいわよ。隆之介は違うみたいど」
「・・・」
「進藤さんがそんなに大事?」
「今、響は関係ないだろ」
「隆之介が会社を辞めて進藤さんを連れて行った時、ちょっとした噂だったのよ。なんで進藤さん?って」
「岡野も連れて行った」
「人に…特に女性には執着しない隆之介がまさかと思ったけど…進藤さんが好き?」
「答える必要はない」
「ふ〜ん、否定しないんだ。なら、余計に私との結婚話は進めたくなるわね」
口角をキュッとあげて何か企んでいるような顔になる
「お前、何言ってるんだ」
綾乃と話がかみ合わない。
どうして今になって俺に執着するんだ。
「気に食わないのよ。誰にも本気にならなかった隆之介が進藤さんを大切にしてることが…」
綾乃は昔からプライドが高かった。
気に食わないと言われて、なんとなく納得してしまう。
「お前には関係ない」
「そうね、私とは本気じゃなかったもんね。それに…最近、修ちゃんも進藤さんと一緒にいるの」
「はっ?」
「修ちゃんが最近、進藤さんと逢ってるのよ」
「修二くんが?」
「最初は今回の件で関わってるんだと思った。けど、最近、様子がおかしいの」
「様子って?」
「修ちゃんが、毎日のように進藤さんに逢いに行ってるわ。逢うと言うよりは、様子を観に行ってる。きっと心配なのね。たぶん...進藤さんのこと気に入ってる。もしかしたら…好きなのかも」
綾乃は悔しそうに唇を噛んだ。