ツレない彼の愛し方【番外編追加】
バッグの中から取り出した茶封筒。
その中には一枚の原稿。
見出しには「婚約者から略奪?デザイン事務所スタッフと三角関係」
そこには自分と綾乃のツーショット写真、そして…目元が隠された響の写真だった。
「っ!!!なんだコレは…!」
「婚約者を取られそうなので記事にしてもらったの」
「綾乃、お前は何をやってるんだ!まったくのデマじゃないか。どうして…」
「そんなに怒らないでよ。でもそんな必死な隆之介も好きだわ」
「ふざけんな!」
「そんなに進藤さんが大事?就職の内定の決まっていた彼女を自分の都合で連れて行った責任感からでしょ?」
「お前に何がわかる」
「わからないわよ、隆之介がひとりの女にそこまで執着する意味が...」
以前の俺にならそう言われえても仕方がない。
当時、就職の内定が決まっていた響を強引に会社に引き込んだのは、彼女を手放したくないという身勝手な想いから。
自分のプロジェクトに手伝いで配属されたアルバイト。
それが響と岡野だった。
リーダーだった自分の指示で、二人とも学生という甘えなしに良く動いてくれていた。
仲間として後輩として信頼を置けた。
響は学生だったし、年齢も離れていたから、当時はかわいい妹分だとしか思わなかったし、ましてや恋愛対象にはなることは無いと思っていた。