ツレない彼の愛し方【番外編追加】

屈託の無い笑顔、何にでも一生懸命に取り組む姿、誰にでも隔たり無く接する愛嬌。
本人は気が付いてないようだったけど、響を気に入ってる男性社員は少なくなかった。
ただ...バイトに手を出すなんてもってのほか。
ましてやまだ学生の女の子だったんだから。


そんな中、独立する自分がかさらってって行ったんだから、残った連中の噂は自分の耳にも届いていた。そんなの関係ない。


しかし、環境が変わって響を手元に置いていてもどこか踏み出せなかった。
自分のものにしたくてたまらないのに、アイツの前ではクールな仕事のできる社長。


そんなある日、汚い手を使って仕事の邪魔をする広告代理店時代の同僚に下げたくもない頭を下げて来た。
その同僚は自分がいた頃、響を気に入ってたのは知っていた。
自分がかっさらって行ったのが相当気に入らない様子で、その時も響の事を言っていたっけ。


「内定が決まってた進藤さんをお前の勝手で振り回して...面白いか?責任を持てるのか?」


余計なお世話だ。
そう思うと同時に、いつもどこか自信が無かった。
響は自分についてきて、後悔していないのかと。


そうした思いが絡まって、同僚と別れた後、酒を飲み紛らした。
そしてそのまま響の部屋を訪ねたんだ。
酒の勢いに任せて...



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